死刑、冤罪をテーマにしたミステリ

13階段

13階段

日本はいわゆる先進国のなかで死刑制度が残っている数少ない国だそうです。
歴史を紐解いてみると、平安時代の345年間ものあいだ、日本では死刑制度はあったものの、死刑は一度も実施されませんでした。
これは世界史的にも稀有なことです。

本書は、死刑を克明に取材し、死刑制度の問題点をあぶりだしながら、死刑囚の恐怖、心情を描き出しています。
本書の大きなもうひとつのテーマは冤罪。
死刑とはついになって常に議論のあるところですが、死刑制度がなぜ必要なのか、考えさせられるように思います。
本書に死刑があっても殺人の抑止力にはならない、という考えが示されていましたが、私自身も同感で、死刑制度はどちらかというとないほうがよいように思います。

昨今は裁判官制度もスタートしつつあります。
今後死刑制度はさらに重要な議論を呼ぶでしょう。