ひさしぶりの「新本格派」は???だめでした

時計館の殺人 (講談社ノベルス)

時計館の殺人 (講談社ノベルス)

【以下、ネタバレあります】

閉ざされた館に、つぎつぎと繰り広げられる殺人。果たして犯人は???

まぁ、現実にはありえない設定なわけだが、だからこそ虚構と安心して読める。ゆえに、わたしは好きだ、このスタイル。

なかでも、綾辻行人はわりとハズレがないほうかもしれない。

でも、本書はだめでしょ。

まず、意外性が弱い。犯人は館に使える女中なのだが、あるはずのアリバイを、時計を50分すすめるということでクリアする。ゆえに「時計館」。着想をおもいついた作家のにやりがみえてきそうだが、こっちはちっともにやりじゃないね。

そしてなにより、結末。時計館がずたずたにくずれおちる、映画のようなめまぐるしいシーン。でも、綾辻小説にこんな結末は期待していないね、わたしは。

なにより、犯人の最後をきれいに終えようとする予定調和てきな発想がきにいらないね。

とまぁ、文句はつけられるが、最後まできになって読みきったのだから、それなりともいえるね。